修理前
お客様はご購入から10年以上になりますが、今回は当社で2回目のオーバーホールご依頼です。腕に着けてリューズ操作をしていたところ、リューズが根本から取れてしまったとのことで、今回もネット申込にてオーバーホール集荷見積りをご依頼いただきました。
修理中
外れたリューズから錆びて折れこんだ巻芯を極細ドリルで削り出して、丁寧にネジ道を再生して新しい巻芯に交換し、リューズを再使用する作業をいたしました。かなりの熟練した技術力が必要な繊細な作業になります。
修理後
リューズは無事に再使用することができました。機械油とゼンマイの経年劣化がみられましたので、オーバーホール、リューズから巻芯除去交換、ゼンマイ交換の作業を行いました。巻芯や裏蓋は汗などの水分や汚れによって腐食・サビが発生しますので、ご使用後は布などで拭いて保管していただき、定期的にメンテナンスにお持ちいただけることをお勧めいたします。
オーバーホール後のご使用上の注意点をお知らせいたします。
1:防水について
時計の外装は、経年劣化や汗・汚れによる腐食やサビ等によって、新品時よりも防水性が低下しております。また、今回洗浄して汚れがとれたリューズやケースの隙間等から水分が侵入し、くもりの原因となる可能性がありますので、水回りには注意してご使用下さい。もし水分がかかった場合は、速やかに拭き取りされることをお勧めいたします。また、この時計は日常生活用防水(3気圧防水)ですので、水につけたりお風呂に入ったりは厳禁です。
2:磁気について
時計は磁気を帯びてしまうと進みや遅れ、止まりが発生する場合があります。身の回りには様々な磁気を発する物があふれていますので、ご注意下さい。
例:テレビ、パソコン、スマートフォン、鞄の磁石、車や家の鍵、磁気ブレスレットなど。磁気を帯びているかどうかは、コンパスを近づけると容易にわかります。
3:持続時間(パワーリザーブ)について
停止状態からご使用を開始される際には、手巻き補助(40~50巻程度)を行っていただけますと、適切な持続時間が発揮できます。最初に手巻き補助をしないと、夜外して翌朝には止まっているようなケースも見受けられますので、そのような場合はいちどお試し下さい。
4:クロノグラフ機能について
時計の真ん中にある大きな針は秒針ではなく、クロノグラフ作動時のセンター針になります。クロノグラフ針の稼働には荷重がかかりますので、普段は停止しておかれることをお勧めいたします。
5:次回オーバーホール時期について
機械油は約3年で劣化を始めるといわれております。ご使用頻度にかかわらず、3~4年に一度のオーバーホールをお勧めいたします。