オーバーホール時の防水検査と防水保証について|時計のオーバーホール・修理事例/料金・費用

時計修理コラム

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2025.07.14

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時計のオーバーホールにおける防水検査と保証について

時計のオーバーホールにおける防水検査と保証について

時計のオーバーホールは、精密なムーブメントを最適な状態に保つために不可欠なメンテナンスです。特に防水性能は、時計の寿命と機能性を左右する重要な要素であり、オーバーホール時には徹底した検査と適切な処置が求められます。

防水性能の重要性

長年の使用により、時計のミドルケース、裏蓋、ネジ、リューズ、プッシュボタンなどの部品には、汚れの蓄積、腐食、錆が発生する可能性があります。これらの劣化は、時計の防水性能を低下させる主要な原因となります。オーバーホール時には、これらの腐食や錆は除去されますが、その過程で目に見えない微細な隙間が生じ、本来の防水性能が損なわれることがあります。

オーバーホールにおける防水対策

元の防水性能を回復させるためには、ミドルケース、裏蓋、リューズなどの外装部品の交換が必要となる場合があります。多くの専門業者では、オーバーホールの一環として以下の防水対策を実施しています。

  • パッキン(ガスケット)の交換: 時計の防水性を保つ上で最も重要な部品の一つであるパッキンは、経年劣化により硬化したり、亀裂が入ったりします。オーバーホール時には、パッキンを新品に交換することで、水やホコリの侵入を防ぎます。多くのメーカーや修理店では、ケースを開けるたびにパッキンの交換を必須としています。

  • ケース部品の徹底的なクリーニングと点検: 超音波洗浄などを用いて、ケースやブレスレットの汚れを徹底的に除去します。この際、腐食や変形がないか詳細に点検し、必要に応じて部品を交換または修理します。

  • 防水性能の復元作業: 部品の交換と再組み立て後、時計本来の防水性能を取り戻すための作業が行われます。これにより、時計は製造時の防水性能基準を満たす状態に近づきます。

防水検査の種類と基準

オーバーホール後の防水性能は、様々な方法で検査されます。

  • 静的防水検査: ISO 2281またはISO 6425(ダイバーズウォッチの場合)といった国際規格に基づき、特定の水深(気圧)で時計を静止させた状態で水圧をかけ、水の浸入がないかを確認します。一般的な日常生活用防水(3気圧防水)から、より深い潜水に対応する20気圧防水以上のモデルまで、時計の仕様に応じた検査が行われます。

    • 3気圧(30m)防水: 日常生活での軽い水しぶき(雨、手洗い)に対応。シャワーや水泳には不向きです。

    • 5気圧(50m)防水: シャワーや軽い水泳に対応可能ですが、水中での操作や飛び込みは避けるべきです。

    • 10気圧(100m)防水: 水泳、シュノーケリング、ウォータースポーツに適しています。

    • 20気圧(200m)防水以上: スキューバダイビングや本格的なマリンスポーツに対応。ダイバーズウォッチは、さらに厳しいISO 6425規格に準拠したテストが行われます。

  • 動的防水検査: 時計を水中で動かす、または急激な温度変化を与えるなど、実際の使用状況を想定したテストを行う場合もあります。

多くの修理業者では、日常使いに対応する3気圧防水検査を標準で実施しており、ご要望に応じて5気圧や10気圧などの高気圧検査も提供しています。しかし、10気圧を超える高圧検査には対応できない場合があり、その際はメーカーでの修理が推奨されます。

防水保証と注意点

オーバーホール後の防水性能は、修理完了時点での防水性を確認するものであり、その後のご使用における永続的な防水性を保証するものではありません。これは、時計の使用状況や環境によって防水性能が変動する可能性があるためです。

保証対象外となる主なケース:

  • 誤用・不適切な使用: リューズの閉め忘れ、衝撃、落下、取扱説明書に反する使用など、お客様の不注意による水の浸入や故障。

  • 正規サービス以外での開封: 弊社またはメーカーが認めていない第三者機関による時計の開封、分解、修理。

  • 経年劣化・通常損耗: ガスケットなど防水部品の自然な劣化や摩耗。

  • 非純正部品の使用: カスタム部品や非純正部品が使用されている時計。

多くの企業では、オーバーホール後の防水保証期間を設けていますが(例:12ヶ月〜2年間)、上記のような条件に該当する場合は保証対象外となります。ロレックスなど一部の高級時計ブランドでは、正規サービスセンターによる2年ごとの防水検査を受けることで、メーカー保証が継続される場合があります。

万一、オーバーホール後1年以内に時計内部に水が浸入したり、曇りが発生したりした場合は、機械油の劣化や錆発生を防ぐため、有償での再オーバーホールが必要となることがあります。

時計の防水性能を長く維持するためには、定期的なオーバーホールと、ご自身の時計の防水性能に応じた適切な使用を心がけることが重要です。

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