オーバーホール後も長く安心してお使いいただくために:自動巻時計のパワーリザーブと正しい使い方
1. 修理完了時の厳格な品質検査
お預かりした大切な自動巻時計は、オーバーホール(分解洗浄・注油)作業完了後、すぐに厳格な検査工程に入ります。
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自動巻上げテスト(持久力の確認): 弊社では、業務用ワインディングマシンを使用し、規定の巻き上げ時間でローターが効率よく機能しているかをテストします。この工程により、日常の使用に耐えうる十分なゼンマイの蓄積量(パワーリザーブ)が確保できたことを確認します。
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持続時間テスト: 巻き上げテスト後、実際に時計が完全に止まるまでの時間を計測し、キャリバーの規定値を満たしているかを確認します。
この二段階のテストをクリアして初めて、お客様へ修理完了のご案内を差し上げています。
2. 知っておきたい「巻き上げ不足」の落とし穴
自動巻時計は、着用者様の腕の動きによってゼンマイを巻き上げますが、現代のライフスタイルでは、しばしば「巻き上げ不足」が生じることがあります。
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デスクワーク時の注意点: 腕の運動量が少ないデスクワークが中心の場合、自動巻ローターの回転だけではゼンマイが十分に巻き上がらないことがあります。
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「翌朝止まる」現象の解消法: 「1日着用したのに翌朝時計が止まっていた」という場合は、巻き上げ不足が原因であることがほとんどです。これを避けるため、ご使用開始時や、しばらく着用しなかった後には、手巻きによる補助(約40~50巻程度)をおすすめします。この補助により、時計はより安定した状態で稼働を始めます。
3. 部品の経年劣化とパワーリザーブについてのご理解
オーバーホールの基本作業は、ムーブメントの分解洗浄と注油です。これはムーブメントをベストな状態に戻す作業ですが、基本的に既存のパーツを再使用します。
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経年劣化の影響: 内装の微細なパーツ類は、製造時から年数が経過し、程度の差こそあれ経年劣化しています。そのため、オーバーホールを実施しても、新品購入時レベルのパワーリザーブや精度、耐久性には戻らない場合がございます。あらかじめご承知おきください。
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新品時性能の回復をご希望の場合: 部品を新品に交換することで、新品時の性能回復をご要望の場合は、メーカー修理代行のお見積りをご案内することも可能です。お気軽にご相談ください。
※ パワーリザーブとは、ゼンマイを完全に巻き上げた状態から、時計が停止するまでの駆動時間(持続時間)を指します。
4. 時計に負担をかけない「手巻き補助」のポイント
自動巻時計は、停止した状態からご使用になる際、手巻きで一定量ゼンマイを巻き上げてあげることで、最も調子良く動き始めます。
【自動巻時計の手巻き方法】
停止した状態からのご使用の際には、40~50巻程度の手巻き補助をされることをお勧めいたします。
手巻き補助は毎回必ず行わなければならないものではございませんが、ご使用時に止まりや遅れが発生する原因は巻上げ不足が原因となりますので、少し手巻きで補助をしてあげますと、より調子よくご使用いただけると思います。
なお、機械式時計は部品点数が多い為、手巻きをしてからゼンマイの動力が伝わって秒針が稼働するまで、15~20秒くらいのタイムラグがありますのでご了承下さい。
手巻きは、リューズを回転させることによってゼンマイを巻き上げます。以下に時計にストレスのかかりづらい巻き方のポイントをご紹介します。
※動画もご参照下さい。https://youtu.be/FrImZVsjZXg
【巻き方のポイント】
1)リューズは指でつまむように持つ
まずは、リューズを回してロックを解除します。(リューズロック機能がないものはそのままで結構です。)
次に、段引きをしない状態でリューズを指でつまんで回すのが最も自然で回転させやすい持ち方です。
指一本で片側をなでるように動かして回すことも可能ですが、その場合片側から押さえつけるように力が加わってしまい、
リューズと機械をつなぐ軸である巻芯が歪んでしまう恐れがありますので、あまりお勧めできません。
2)つまんだままで回転→逆回転を繰り返す
リューズを時計回りに回転させた時にゼンマイが巻き上がります。
そして反時計回りに回転を繰り返して巻き上げます。その際、つまんだ指は離さずに親指の腹と人差し指の側面をこすり合わせるような動作を繰り返します。
詳しくは弊社までお問い合わせください。









