「時刻を合わせようとしたら、リューズがポロッと抜けて元に戻らなくなってしまった」とご相談いただいた、
ボーム&メルシエのクラシックエレガンスを体現するモデル、クリフトン(Ref.65718)です。

1. 内部機構へのアプローチ(巻き芯折れの原因と修理)
搭載されている機械は、スイス製の代表的な薄型自動巻きムーブメント「Cal.SW300」です。
非常に安定した精度を誇り、名だたる高級ブランドの薄型ドレスウォッチに採用されている信頼性の高い機械です。
今回、リューズが抜けてしまった原因は、リューズと内部の機械を繋いでいる金属製の細い芯である「巻き芯(まきしん)」の破断(折れ)でした。
巻き芯は、時刻や日付を合わせる際に常に強い力が加わる場所です。長年のご使用による金属疲労や、水気による錆び、
リューズを引き出す際にわずかに斜めに力がかかってしまうことなどが原因で、ポキッと折れてしまうことがあります。
今回は定期メンテナンスを兼ねて、時計全体をバラバラに分解する「分解掃除(オーバーホール)」を行いました。
折れた古い巻き芯を慎重に取り出し、新品の巻き芯へと交換。
内部の古い油や摩耗による汚れを完璧に洗浄し、最適な潤滑油を注ぎ直すことで、リューズの操作感も本来の滑らかさへと復活させています。
2. 外装研磨(ポリッシュ)による輝きの復活
クリフトンは、1950年代のクラシカルな時計にインスピレーションを得た、1ランク上の上品さと立体的な造形が魅力のモデルです。
ケースは全体的に落ち着いた「サテン(艶消し)仕上げ」、一部アクセントに美しい輝きを放つ「鏡面(ポリッシュ)仕上げ」と、繊細な磨き分けが施されています。
この異なる質感が交わる境界線をキリッとシャープに磨き分けることで、ドレスウォッチにふさわしい上質な光と影のコントラストを取り戻しました。
「リューズが抜けてしまった」とき、そのまま放置されますと内部に湿気が入り、内部の繊細な歯車や文字盤に錆びが出てしまい、
大掛かりな部品交換が必要になるケースがあります。抜けてしまった際は、お早めに専門店へお持ち込みいただくのが最も安心です。
今回は不具合のあったパーツの交換と、隅々までの分解掃除によって、内部の機能も外装の美しさも当時のクオリティへと蘇りました。
これから先もビジネスからフォーマルまで、オーナー様の頼れる相棒として末永く安心してご愛用いただけると思います。










